竹炭を土壌施用して10年間のチャの栽培試験を実施している。3年が経過した時点では、竹炭を施用した区の土壌では、根圏部に肥料成分が保持されやすい傾向が観察され、しかも、酸度も茶樹の成育に好適な範囲に保持される傾向が観察された。また、竹炭を施用した区では、樹高で約20%、体積で約40%の成育促進効果が見られた。しかし、芽数や芽長にはほとんど変化が見られなかった。竹炭の施用方法については、数mm程度に粉砕した竹炭を毎年株間に面積1m2あたり100g施用した場合の成育が、他の条件と比較して優れる傾向にあった。品質については、はっきりした効果は、現時点では認められなかった。また、同時に設置した気象観測システムは、成育に及ぼす気象条件の影響を正確に評価するために役立つと共に、地域生産者に地域気象情報を実時間で提供することを可能にした。竹炭施用の影響をさらに明確化すると共に、静岡県沼津市浮島地区における竹炭使用の栽培指針の確立に向けて、今後も本研究を継続していくことが必要である。