番外編・美しい花(1)


 人間の衣食住に欠かせない植物ですが、美しいという点で植物を愛するのも、人間ならではのことです。花を愛でるという意味を人間以外の動物に伝えることは難しいでしょう。これも、人間というものの不思議のひとつではないでしょうか。ここでは、美しい花を咲かせる植物を紹介したいと思います。ただ、美しいという観点は、極めて主観的なものですので、ここでは、私(作者)が美しいと思った植物のランキングを示すことにします。従って、(1)私が過去に栽培したか観察した植物であること、(2)私が美しいと思った植物であること、という点で、皆さんの嗜好と合わないこともありますので、ご了承下さい。
[第1位]ヒスイカズラ(Strongylodon macrobotorys)マメ科
 こんな色の花があるのか、と思うような色をしています。本当に宝石のヒスイのような青緑色です。咲いてくるつぼみの形も、まるでヒスイでできた勾玉のようです。1花の寿命は短いですが、一つの花の長さは5cm程度あります。フィリピンのルソン島原産の植物です。花の感じに似合わず、学名は、ストロンギロドンという、まるで恐竜のようなゴツい名前です。意味は、花のがくの部分が丸い歯のような形状をしているところによります。日本でも植物園で、ディスプレイ用に各所で植えられていますが、小温室があれば、自分でも栽培できます。図鑑の記述によれば、つるは20m以上になるとあります。しかし、3mくらい延ばせば、開花します。温室に地植えにして、つるを切らないようにして、とぐろを巻かせておくと咲きます。ぜひ、栽培してみることをお勧めする植物の一つです。私がこの花を最も美しいと感じる瞬間は、夕暮れの瞬間です。あたりは、赤っぽい光に包まれますが、この花の周りだけ青いオーラが出ているような妖しい澄んだ光に包まれて輝いています。写真では、本物の美しさの半分も出ていません。このために温室を建てても努力は報われます。日本の開花期の5月下旬が楽しみなコレクションになります。
ヒスイカズラ(<I>Strongylodon macrobotorys</I>)
エランギス・ロードスティクタ(<I>Aerangis luteoalba var. rhodosticta</I>) [第2位]エランギス・ロードスティクタ(Aerangis luteoalba var. rhodosticta)ラン科
 これは、小さな植物です。直径6cmの鉢でも花が咲きます。ケニアから西アフリカの森林地帯の原産です。白い可憐な花で、それだけでもかわいいのですが、さらに、ずい柱の部分が赤く染まるところが、美しさのダメ押ししいう感じです。こんな花が森林の中で、そこかしこにぽつりぽつりと咲いている光景は、どんなに美しいことでしょう。栽培法は、一般の着生種のランに準じますが、感染症に弱く、また、乾燥にも弱いです。私が少ない経験の中で得たコツは、木炭を使うということと、日本の古典園芸の富貴蘭の植えつけ法にすると良いようです。冬場に咲くことが多いですが、不定期にぽつぽと咲くこともあります。
[第3位]イロマツヨイ(ゴデチア)(Godetia cvs.)アカバナ科
 北アメリカ原産の種を改良した園芸植物です。秋、寒冷地では春に種を播くと、6月頃に開花します。この美しさは、何といっても、色と花びらの質感です。まるで絹のような光沢があり、なおかつ薄く和紙のようです。英名では、サテンフラワーと呼ばれるのも納得します。似たような花びらを持つものに、グビジンソウと呼ばれるヒナゲシの一種がありますが、一時に咲く派手さでは、この花に到底かないません。寒さに強いのですが、湿り気と蒸れに大変弱いので、種が市販されていますが、意外と作られていません。特に、開花間際に根元が腐ってしまうことが多いので、地団駄を踏みたくなってしまう人も出るでしょう。しかし、一度挑戦してみる価値はあります。なるべく開けた場所で、あまり肥料や水を与えずに、株間を取って植えれば、うまくいきます。この写真の品種は、ドワーフゼムという、わい性の鉢植え花壇用品種です。切花用の背の伸びる品種もあります。
イロマツヨイ(ゴデチア)(<I>Godetia cvs.</I>)
アメリカフヨウ(<I>Hibiscus moscheutos cvs.</I>) [第4位]アメリカフヨウ(Hibiscus moscheutos cvs.)アオイ科
 この花が咲くとみんなびっくりします。なにしろ、直径が28cmにもなるのですから。ハイビスカスの仲間ですが、耐寒性があり、露地で育てられます。花の寿命は一日ですが、次々と毎日咲きます。これが咲き出すと、ああ、夏だなあと思います。ヒマワリに負けないとてもダイナミックな花で、色も、白、ピンク、赤や、それらの染め分けなどいろいろです。北アメリカ原産の宿根草で、いくつかの種の血をいれて現在の品種に改良されました。ハワイアンハイビスカスも、この美しい花のコーナーにノミネートされたのですが、同じ属なので、より日本で栽培しやすいアメリカフヨウが残りました。最近は、栽培する人が少なく、ヒマワリやハゲイトウのように、昔の田舎の花になってしまったのが残念でなりません。そうそう、アオイ科で同じような昔の田舎の花というイメージで思い出しましたが、タチアオイ(ホリーホック)も色が豊富なきれいな花ですが、見かけなくなってしまいました。こういう、暑いのが好きという植物は、イングリッシュガーデンのブームでは、見捨てられてしまうのですね。かわいそう。
[第5位]カトレア類(Cattleya cvs.)ラン科
 花の女王、カトレアを美しい花からはずしたらいけません。特異な形、豪華なフリル、良い香り、まさに他の花に代わる物が無いという点で、すばらしいと思います。自分で育てて咲かせると、感慨もまたひとしおです。カトレアといっても、品種改良が繰り返されて、レリア、ソフロニティス、ブラッサボラ(リンコレリア)、プロートニアなどの他属の血も入っていますので、カトレア類と呼ぶのが正しい呼び方です。1818年に発見されてから、ものすごい勢いで改良されています。このことは、この花の強い魅力が人類を引きつけて離さないことの証でしょう。RHSという団体によって、品種名がわかれば、原種まで祖先を辿れるのもすごいことだと思います。まるで、血統書つきの犬のようですね。写真は、レリアの血の入った、Lc. Drumbeat 'Triumph'という品種です。カトレアの真骨頂の色は、この派手なピンク色です。ランの愛好家は、カトレアのこの色を、ラベンダーピンクと呼んでいます。この色は、他の花では出ない色だと思います。中央から南アメリカの原産です。
カトレア類(<I>Cattleya cvs.</I>(Lc. Drumbeat 'Triumph'))
バラ・フレダイコ(ふれ太鼓・ピニャータ)(<I>Rosa cvs.</I>) [第6位]バラ(Rosa cvs.)バラ科
 カトレアと来たら、美しい花の双璧と言われているバラを挙げなくてはなりません。バラも、いろいろな種が交雑されて、さまざまな品種ができています。改良の最先端は、やはり、ハイブリッドティー系とフロリブンダ系でしょう。これは、人類の美を求める英知が結集されていると思います。特に、ハイブリッドティー系の剣弁高芯咲きという花形は、人工の美とでもいうような感じで、人間が好まなかったら、某百貨店の包装紙のような花形は生まれなかったのでしょう。最近は、日本でも昔の花形に回顧する動きが出ていて、今後、どのように改良されていくのか、興味が尽きません。バラの花色は、ほとんどあり、無いものは青と真っ黒ぐらいです。また、香りも多彩で、同じバラの花なのに、香りが全く異質なものもあります。写真は、フロリブンダ系の日本の品種、フレダイコ(ふれ太鼓・ピニャータ)です。蛍光色の黄色がかったオレンジから気温によって真っ赤に花色が変化します。香りも柑橘系のような匂いで、とても人目を引く美しい品種です。人の保護なしには生きられない、まさに人間と植物の共同作業が織り成す「人工の美」です。
[第7位]キュウコンベゴニア(Begonia ×tuberhybrida)シュウカイドウ科
 ペルーやボリビアの高山にこのような美しい花が咲くベゴニアの仲間があります。直径20cm以上の大きな花は、黄色、オレンジ、しろ、ピンク、赤など多彩で、とても美しい色をしています。熱帯の高山の植物に共通する特性で、暑さ寒さに弱く、適度な湿度を必要とします。このため、日本では、作りにくい植物で、高原に温室を建てるか、冷暖房完備の温室でないと、見事な花は期待できません。写真は、ピコティ咲きの品種で、花弁の縁に赤い彩りがあり、薄いフレアスカートように繊細な美しさがあります。園芸家ならば、一度は自分で育ててみたいと思う花の一つでしょう。球根(塊茎)を入手したら、涼しいところにおいて、秋まで待って植付け、温室の中で長日条件になるように電照しながら冬季に栽培すると、平地でもうまく栽培できます。
キュウコンベゴニア(<I>Begonia ×tuberhybrida</I>)
チューリップ(ジョーゼット)(<I>Tulipa cvs.</I>) [第8位]チューリップ(Tulipa cvs.)ユリ科
 チューリップも人の心を捉えて放さない、魔性の植物です。トルコ原産ですが、オランダで狂乱的なブームがあり、家一軒と球根一個が交換されるようなこともあったそうです。そのくらい、人の心を動かす美しさを秘めた植物なのです(経済的価値が心を動かしたのかもしれないが)。「さいた、さいた、チューリップの・・・」という童謡などで、あまりにも通俗的な雰囲気のイメージを持たれてしまう花ですが、先入観をなくして、じっとこの花を鑑賞すると、確かに、時代を超えて万人に愛される、バランスの取れた美しさを感じられると思います。花色も青以外のほとんど全てがあり、形も、ダーウンイハイブリットの普通の形から、八重咲き、ユリ咲き、パロット咲き、フリンジ咲きなど、多種があり、どんな人にも、必ず好みに合う一品種が見つけ出せると思います。写真は、私が気に入っている、枝咲き品種のジョーゼットです。これは、一本の花茎が分枝していくつかの花を咲かせるにぎやかなもので、しかも、咲き始めは黄色で、やがてオレンジに変色する、とてもすばらしい品種です。
[第9位]サクラ(Prunus sp.)バラ科
 日本人なら、サクラでしょう。私もサクラは大好きです。学校の入学卒業、花見など、サクラの花を見ると思い出す記憶のひとつやふたつは日本人ならば持っているのが普通でしょう。花の咲くときに葉が出てしまう種類もありますが、私は、葉前性の咲き方の種類が好きです。木全体が、花の色一色に覆われてしまう美しさ、そして、散るときの花吹雪、やがて迎える葉桜、どれをとっても、本当に美しい光景です。日本では、ソメイヨシノという品種が沢山植えられていて、一般的ですか、私は、写真のヤエベニシダレが好きです。ソメイヨシノに比べ、濃いめのピンクがちょっといやらしい感じを与えますが、華やかで春のふわふわとした気分にぴったりの雰囲気を醸し出しているように感じます。ソメイヨシノは木の寿命が短い品種ですが、このヤエベニシダレのイトザクラ系は、寿命が長く、エドヒガンと共に、長寿の巨木が沢山あります。
サクラ(ヤエベニシダレ)(<I>Prunus sp.</I>)
ゲッカビジン(月下美人)(<I>Epipyllum oxypetalum</I>) [第10位]ゲッカビジン(月下美人)(Epipyllum oxypetalum)サボテン科
 月下美人とは、なんとすばらしいネーミングなのでしょうか。直径20cm以上の花を初夏から晩秋まで何回も周期的に咲かせます。たった一夜の命ですが、その美しさは、やはり、一見の価値ありでしょう。同じ仲間に、昼間咲くクジャクサボテン(オーキッド・カクタス)もあり、これも大変美しい花をつけます。美人の条件は首が長い、というのをどこかで聞いたことがありますが、月下美人は、咲く前に、まさに、ながーく首を伸ばして咲きます。開花時間は、気温によっても異なりますが、大体午後8時から、午前2時頃までです。強い香りもあり、人によっては、良い香りという人がいますが、私は、青臭すぎるように感じ、それほど良い香りのようには感じません。以前に日本に入っていた系統は、不稔でしたが、近年、東京農大によってもたらされた系統は、赤い実がなり甘くて食用になります。食用月下美人として販売されています。
[第11位]サギソウ(Habenaria radiata)ラン科
 日本原産の宝石のようなランの仲間、サギソウを忘れてはいけません。この、造形の美、なんとも表現しがたく、この花の前で、しばし、たたずんでしまいます。開発と乱獲によって、自生地が壊滅状態なのは、本当に悲しいことです。人間の手が加わらずに、これほどの美しい形を持つ植物を眺めると、自然の神秘を感じずにはいられません。もし、手に入れることがあったら、大切に大切に育てましょう。栽培のポイントは、根元薄暗、上爽やかです。湿原の草地に生える植物ですので、根もとの部分は雑草が生えていて、湿度と適度な遮光がされて、ひんやりした状態です。その雑草から抜きん出ると、木の無い湿原のため、日が良くあたり風が吹き抜けからっとしています。このような環境を作り出してやれば、うまく育ちます。背の低いイネ科の湿地を好む植物と一緒に植えると良いので、盆景などでは、よくチガヤと一緒に植えられたりしています。また、沢山の球根を植えて、サギソウの密林を作れば、そのような環境になります。鉢に一本だけ植えてもうまくいかないのは、このためです。
サギソウ(<I>Habenaria radiata</I>)
ビオラ・パンジー類(サビック・レモンイエロー)(<I>Viola tricolor cvs.</I>) [第12位]ビオラ・パンジー類(Viola tricolor cvs.)スミレ科
 小さな花が沢山咲くのがビオラ、大きな花が咲いて黒い紋が入るのがパンジー、と日本では伝統的に分類されていますが、最近では、境界線がなくなってきています。ヨーロッパ原産の種を改良した、どこにでも見かける、ありきたりの花、という点では、チューリップと共通するところがあるかもしれません。しかも、種で育って、株の値段も安く、長く咲くので、「貧者の花」、なんてひどいあだなで呼ばれることもあります。確かに、冬から春の花壇では、どこにいっても、とりあえずパンジー、という雰囲気がありますよね。しかし、一つ一つの花を鑑賞しても個性的な美しさがあり、しかも、群落では、また別な美しさがある、という点で、やはり、美しい花の中に入ると思います。色や模様も豊富で、香りも良く、花期も長い。あまりにも、身近な美しさのために、我々はそれを意識しなくなってしまっていることは無いでしょうか。まさに、美人は三日見れば飽きる、ということわざのように。しかし、その真価は、彼女が身近から姿を消したときにわかると思います。写真は、小輪のサビック・レモンイエローという品種で、晩秋から初夏まで開花する息の長い花です。
[第13位]アマリリス(Hippeastrum cvs.)ヒガンバナ科
 アマリリスと呼ばれますが、分類学上のアマリリスとは違う植物です。ブラジルやペルーなどの南アメリカ原産の鱗茎をもつ植物です。オランダで改良されて、すばらしく大輪の美しい花を咲かせる品種ができました。子供の顔ほどもあります。一名、騎士の花と呼ばれるように、何かしら姿は凛としたものが感じられ、花弁のシルエットもくっきりして、紋章のような感じです。色は、白、緑、赤、ピンク、オレンジ、茶色などの単色や模様があります。最近は、八重咲きも登場しています。環境をうまくコントロールしてやると、一年中、次々と咲きつづける性質を持っていて、処理した球根(鱗茎)が一年中出まわっています。球根は、愉快なほど巨大になり、それを見たことが無い人にプレゼントすると、それだけでもびっくりするでしょう。普通に栽培すると、花は5〜6月頃に見られます。
アマリリス(<I>Hippeastrum cvs.</I>)
フクシア(アボセット)(<I>Fuchsia cvs.</I>) [第14位]フクシア(Fuchsia cvs.)アカバナ科
 メキシコやアルゼンチンなどのアメリカ大陸が主な原産で、品種改良の結果、現在のような美しい品種ができました。魅力は、釣鐘のように垂れる花と、長く伸びた優美なおしべとめしべです。色は、赤、白、紫、ピンク系しかありませんが、やさしい感じの花です。群落よりも個々の花が美しく映えるように感じます。大きな鉢に植えて、写真のように沢山の花を鑑賞する事もありますが、小さな鉢でコンパクトに数輪咲かせたほうが、より美しいように感じるのは私だけでしょうか。寒さにはやや強いのですが、暑さに弱いところがあり、都会で夏の夜の温度が高いと栽培は難しいです。でも、最近は、強い品種もできています。写真の品種は、アボセットです。暑さに弱いのですが、できるだけ太陽の光に当てることと、過湿や乾燥にならないよう、土の水分を適切に保つことが栽培の秘訣です。
[第15位]ラケナリア・ビリディフローラ(Lachenaria viridiflora)ユリ科
 第1位のジェードバインと並んで、特異な美しい花色を持つ植物です。イキシアにも、このような花色の植物がありますが、極めて珍しい花色であることには間違いが無いと思います。これを見たときの最初の印象は、昔の電卓の蛍光表示装置の数字の色だ、と感じました。まさに、あれそっくりの色です。最近では、液晶全盛なので、そんなことをいってもわからない人も多いと思いますが、とにかくその色そのものなのです。南アフリカ原産の種で、鱗茎を持つ球根植物です。夏の終わりに小鉢に植えると、12月には咲き出し、霜さえ当てなければ栽培も簡単です。小型なので、ジェードバインはちょっとと思う人にも良いかもしれません。小型であり、珠玉の美しい植物です。
ラケナリア・ビリディフローラ(<I>Lachenaria viridiflora</I>)
アデニウム・オベッスム(<I>Adenium obesum</I>) [第16位]アデニウム・オベッスム(Adenium obesum)キョウチクトウ科
 砂漠のバラと呼ばれる美しい花です。植物の姿も変わっていて、壷植物とよばれる多肉植物の一種に園芸的には分類されています。株元は、異様に太っていて、まるで壷のような外観を呈します。上部に薄い緑色の濃い葉を展開し、直径6cmぐらいのとても鮮やかな花色の花をつけます。姿といい、花の色といい、とても人目を引きつけます。アラビアから東アフリカに分布しています。
[第17位]ゴクラクチョウカ(Strelitzia reginae)バショウ科
 何羽もの、青い頭部をもった尖ったくちばしの鳥が、オレンジ色の羽を羽ばたかせて、今まさに、巣から飛び立とうとしているような花を咲かせます。南アフリカ原産のこの植物は、本当に鳥の姿に似た花を咲かせます。このストレリチィア属やヘリコニア属には、美しい花を咲かせる植物が沢山あり、このゴクラクチョウカも、そのなかの代表的な種類です。以外に耐寒性が強いので、温暖化している東京都心ならば、露地で越冬するかもしれません。根が太いので、大きな鉢に荒い粒状の土で植えつけ、暖かいときには、肥料をたっぷりとやると花を咲かせます。種も、とても変わっていて、黒い大豆のようなものに、鮮やかなオレンジ色の毛がモヒカン刈りの頭の毛のようについています。
ゴクラクチョウカ(<I>Strelitzia reginae</I>)
テコフィラエア・シアノクロッカス(<I>Tecophilaea cyanocrocus</I>) [第18位]テコフィラエア・シアノクロッカス(Tecophilaea cyanocrocus)テコフィラエア科
 世の中には、青い花が沢山ありますが、球根植物で純粋なインクのような澄んだ青色を持つ花はそうありません。チリ産のこの小球根植物は、きれいな混じりけの無い青色の花を咲かせることで有名です。原産地では、ほぼ絶滅状態で、幻の花と呼ばれています。花の直径は、3.5cm程度で、細い葉を数枚出してから、その先端に花をつけます。植物体の大きさと比べて、かなり大きな花をつけます。写真をごらんいただくとわかるでしょう。花の時期は、2月頃です。太平洋側の澄んだ2月の青空を濃くして集めたような色の美しいよりは、「可憐な」という言葉がぴったりの花です。これに匹敵する色を持つ花は、デルフィニューム、メコノプシス、ゲンチアナといったところでしょうか。
[第19位]リコリス・スプリンゲリ(Lycoris sprengeri)ヒガンバナ科
 中国原産の球根植物です。ピンクの花弁の先端が青く彩られ、そのコントラストがとても綺麗な花です。リコリス属は、アジア原産の彼岸花の仲間で、美しい色を持つものが多いにもかかわらず、彼岸花の不吉なイメージから日本では嫌う人が多いのが残念です。スプレンゲリのほかに、ヒガンバナ(赤)、ショウキズイセン(黄)、ナツズイセン(桃)なども美しい花です。同じような花形を持ったネリネ属とともに、美しい花の多い仲間です。
リコリス・スプリンゲリ(<I>Lycoris sprengeri</I>)
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