左の写真は、アフリカスミレまたはセントポーリア(Saintpaulia cvs.)というイワタバコ科の植物です。アフリカ原産でしかも、スミレのような感じの花を付けるため、このような名前がつけられました。空気中の湿度は好みますが土は乾いているほうが好きなので、水やりの手間も余りかからず、しかも、蛍光灯の弱い光でも生育する特性があります。このため、応接間や台所などの直射日光が射さない所で良く育ち、しかも、かわいい感じがするので、家庭園芸の対象として女性に根強い人気があります。この植物は、葉の柄(葉柄・ようへい)や葉から不定芽を出す性質が強いので、葉を一枚持ってきて、水や土に差しておくと、沢山の芽を出して、やがて根が出て増殖します。右の写真では、一枚の葉から7-8株の幼植物が芽を出しています。こんなことを聞いても、花屋さんで勝手に葉を一枚ちぎって持って帰ったりしないでくださいね。 | ||
同じような増え方をするものに、世界各地の暖かいところに分布するベゴニア(Begonia sp.)というシュウカイドウ科の仲間があります。普通の植物では、葉の形が円形や楕円形など、左右対称になるものが普通です。このベゴニアの仲間は、左右不対称なひずんだ形の葉をつけることが大変珍しい特徴です。この特徴がこじつけられて、花言葉では、「片想い」などという悲しい言葉があてられてしまっています。 左の写真は、俗にレックスベゴニア(Begonia cv. 'Wild Fire')と総称される葉を鑑賞する種類です。これは、葉脈の分岐点から不定芽を出す性質があり、葉をいくつかに切り分けたものを挿しても芽が出ます。日本などに自生しているシュウカイドウ(秋海棠・Begonia grandis var. evansiana)は、葉腋(ようえき・葉の付け根)に珠芽(しゅが・肉芽・むかご)をつくって、それが地面にぽろぽろと落ちて増殖します。 イワタバコ科やシュウカイドウ科の植物は、葉だけで増えることができるものが沢山あります。でも、イワタバコ科のなかでも、ストレプトカーパス属のある種類(ウシノシタ、Streptocarpus grandisなど)は、一生涯で本葉をたった一枚しか出さない変わったものもあります。ちなみに、葉の数では、アフリカのナミビア砂漠だけに生える一属一科の大変珍しい裸子植物のウエルウイッチア(奇想天外、Welwitschia mirabilis)は、芽生え時にあった2枚の子葉はやがて脱落し、その後は、一生涯で本葉を2枚しか出しません。 | ||
シキザキベゴニア(Begonia semperflorence cvs.) |
シュウカイドウ(Begonia grandis var. evansiana) |
ウシノシタの一種(Streptocarpus wendlandii) |
ウエルウイッチアの芽生え(奇想天外、Welwitschia mirabilis) |
ウエルウイッチア(奇想天外、Welwitschia mirabilis) |
ウエルウイッチアの開花(雄花)(奇想天外、Welwitschia mirabilis) |
へんな増え方をするもう一つの仲間がベンケイソウ科の植物です。あの弁慶のように丈夫でなかなか枯れたりしないことから、弁慶草という名になったように、生命力の大変強い植物です。しかし、寒さに弱いものも少なくありません。左の写真は、セイロンベンケイ(Kalanchoe pinnata または Bryophyllum pinnatum)と呼ばれる、マダガスカルやアフリカに広く分布している植物です。別名、ハカラメ(葉から芽)と呼ばれるように、葉を切り取って、萎れない程度に湿り気を与えていると、右の写真の葉に、葉の縁の鋸歯(きょし)の間のくぼみから不定芽がでてきます。芽の出方が面白いのと、芽が出るが「めでたい」に通じるのとで、人気があります。ハワイ、沖縄、小笠原なと、温かい地方のお土産品として、袋詰にされた葉がよく売られています。寒さに当てさえしなければ、茎から落ちた葉がすぐに芽を出すため、温室などではすぐ強烈に増えて繁茂し、嫌われ者です。小笠原や沖縄などでは雑草化しています。大きくなると、主に早春に3-4cmくらいの長さの赤みかがった緑色の提灯のような感じの花を沢山咲かせます。それはそれでなかなかきれいですが、1mを超える草丈になってしまうことが多く、室内で鑑賞するには少し持て余し気味の感じです。 | ||
セイロンベンケイの蕾。この袋状のがくの下部から、オレンジ色かがった花弁が現れる。 |
キンチョウの花(左も)。 |
|
ホテイアオイ(Eichhornia crassipes) |
ユキノシタ |
ジュウニヒトエの品種(Ajuga reptans cvs.) |